
使えます。旅行用eSIMはキューバ唯一の携帯電話網Cubacelにローミングでつながり、4Gと3Gで通信します。2026年に役立つかどうかを左右するのは2点。最近の全国停電では基地局の80%以上が停止し、2026年6月6日からはVisaとMastercardが使えません。データは出発前に買っておきましょう。
カリブ海で、いつもの通信の常識が通用しないのがキューバです。電話会社は国営のETECSA 1社だけで、自前のeSIMは売っていません。2024年以降、島全体の電力網が何度もダウンしています。そして6月からは、財布の中の銀行カードが島ではまったく使えなくなりました。
それでも旅行用eSIMが無意味になるわけではありません。むしろ、自宅で手配でき、自分のカードで支払え、飛行機が着く前から使える状態にしておける唯一の手段です。このガイドでは、2026年10月時点で何が使えて何が使えないのか、そしてネットワークそのものが弱点になる旅にどう備えるかを解説します。
予約の前に、各国の渡航情報を確認してください。2026年10月5日に更新されたカナダ政府の渡航情報は、燃料、電気、食料、水、医薬品の不足を理由に、キューバへの不要不急の渡航を避けるよう呼びかけています。カナダの航空会社はすべて運航を停止しており、現地のカナダ人には、手段が残っているうちに出国を検討するよう求めています。英国も不可欠な渡航以外は控えるよう勧告し、抗議活動が頻発していること、電力網の崩壊が今後も起こる可能性が高いことを警告しています。
ETECSAは、キューバの固定電話、インターネット、そしてCubacelブランドで島唯一の携帯電話網を運営しています。ほかに選べる通信会社はなく、2026年10月時点では到着後に買える現地のeSIMもありません。ローミングでも旅行用eSIMでも、キューバで電波をつかむ外国のスマホは、すべて同じCubacelの基地局を使っています。
キューバ向けの旅行用eSIMの仕組みは、ローミングと同じです。スマホは訪問端末としてCubacelに登録され、その提携契約を通じてデータが流れます。ZwitchyのキューバプランはCubacelのLTE網を使います。キューバに商用5Gはないので最速でも4G、町と町の間では3Gか圏外になることもよくあります。
ここで思い込みがちなのが、契約中の通信会社のローミングなら安心、という考えです。これは正しくありません。キューバとのローミング契約がまったくない通信会社もあり、カナダ政府のページもはっきりこう書いています。
§カナダの携帯電話は、大都市であっても使えない場合があります。
ここは、どのプランを選んでも解決できない部分です。キューバの携帯電話網は商用電源に頼っていて、その電力が足りていません。島全体の停電は、2025年3月14日、2025年9月10日、2026年3月16日と21日、2026年7月には約10日間で3回、さらに2026年8月2日と2026年9月18日にも起きました。復旧に1日以上かかることも珍しくありません。
電話への影響は、ETECSA自身が明かしています。2026年9月25日に報じられたETECSAの数字によると、ある全面停電では基地局の80%以上が停止し、インターネットのトラフィックは58%減りました。バッテリーや発電機で動き続ける基地局には、電波を探す人が殺到して混雑します。2025年半ばの時点で、約5,000ある基地局のうち予備電源を備えていたのは半分ほどでした。
大規模な崩壊がなくても、輪番停電は日常の一部です。国営の電力網運営会社の数字では、2026年6月18日には国の最大68%が同時に停電していました。発電機のあるホテルは明かりがついていても、近くの基地局まで動いているとは限りません。
停電はどのスマホにも平等に影響します。ローミングも現地SIMも旅行用eSIMも同じCubacelの基地局を使うので、基地局の電源が落ちれば、周りの誰も電波を拾えません。自分で何とかできるのはバッテリーです。充電済みのモバイルバッテリーを持ち歩き、オフラインマップをダウンロードし、ホテルを出る前に住所や予約情報をスマホに保存しておきましょう。
キューバの中央銀行は2026年6月6日、VisaとMastercardの受け付けを停止しました。米国の新たな制裁を受けて、海外のカード決済代行会社が取引を打ち切ったためです。どの国で発行されたカードでも、VisaとMastercardはすべて対象です。現金への影響について、英国政府はこう明記しています。
§国際カードでATMから現金を引き出すことはできません。
スマホの準備も、これで順番が変わります。ETECSAの窓口でも島のどこでも、VisaやMastercardでは払えません。ETECSAの提携サイトでのオンラインチャージなら外国のカードも通りますが、それはすでにネットにつながっていればの話です。通信手段は出発前に支払いを済ませ、ほかの出費には米ドルかユーロの現金を用意しましょう。UnionPay(銀聯)やロシアのMIRのカードはまだ使えますが、持っている旅行者はわずかです。
ETECSAはCubacelTurという旅行者向けの物理SIMを販売しています。オンラインで注文し、パスポートを見せて受け取る仕組みで、購入できるのは18歳以上。プラスチックのSIMだけで、eSIM版はありません。受け取り場所は主要な国際空港(ハバナの第2・第3ターミナル、バラデロ、サンタクララ、カヨ・ココ、カヨ・ラルゴ、カマグエイ、オルギン、サンティアゴ・デ・クーバ)とETECSAの営業所です。
| 旅行者向けSIM CubacelTur | 旅行用eSIM | |
|---|---|---|
| 内容 | Básico:4 GB、通話20分、SMS 20通、7日間で13.99米ドル。Plus:10 GB、通話100分、SMS 100通、WhatsAppとFacebookが使い放題、30日間で34.99米ドル | データ専用。Cubacelの4Gと3Gを利用、1 GB・30日間から |
| 入手方法 | 到着後に空港カウンターかETECSAの営業所で、パスポートを提示 | 出発前に自宅でインストール |
| 支払い方法 | 渡航前にオンラインで、またはキューバで現金、UnionPay、MIR | 自分のカードで、自宅から |
| スマホの条件 | 物理SIMトレイが必要 | eSIM対応(トレイ不要) |
| 普段の番号 | 普段の番号がSIMカードなら、それと入れ替えることになる | 並べて使い続けられる |
料金は、ETECSAの販売パートナーSuena Cubaが2026年10月7日に掲載していたものです。1 GBあたりでは旅行者向けSIMのほうが割安。キューバへのローミングデータはどのeSIM販売会社にとっても高額で、Zwitchyも例外ではありません。
eSIMが勝るのは3つの点です。まず、着陸した瞬間から使えること。入国審査やSIM売り場の行列より先です。次に、SIMトレイのないスマホでも使えること。iPhone 14以降の米国版iPhoneと新しいiPhone Duoがそうで、これらではCubacelTurはそもそも選択肢になりません。そして、普段の番号を生かしたまま、銀行の認証コードや家族からの電話を受けられることです。
多くの旅に合うのは、こんな組み合わせです。最初の数日は小さなeSIMプランで、滑走路の上から地図もタクシーもメッセージも使えるようにしておく。滞在が長く、トレイ付きのスマホがあり、ETECSAの窓口に行けるなら、あとからCubacelTurを足す。キューバのプランでは、今日の料金をあなたの通貨で確認できます。
キューバの観光省によると、ホテルの4分の3は館内全域でWi-Fiが使え、10ある国際空港のうち9つでは、到着・出発エリアで30分間無料で使えます。ただしこれは今の危機より前の数字です。2026年2月には、ビジャクララ州のETECSA幹部が、長引く停電で基地局だけでなくWi-Fiスポットも深刻な被害を受けていると認めました。バッテリーは劣化し、発電機には燃料がないためです。
ホテルのWi-Fiは遅く、大勢で共有し、停電すれば止まるものと思っておきましょう。カナダの渡航情報も、島全体のインターネット接続は限られていると一言でまとめています。つながらない前提で計画し、快適につながったらうれしい誤算。1日の予定をネット頼みで組まないことです。
必要なものは、出発前にすべてダウンロードしておきましょう。Appleのメディアサービス提供国の一覧にキューバはなく、Google Playの有料コンテンツ提供国の一覧にも入っていません。地図、翻訳、銀行、配車アプリは自宅でインストールしてオフラインデータも保存し、オフライン準備チェックリストにも目を通してください。
もうひとつの遮断は政治的なものです。英国は、緊張が高まるとインターネットが遮断されることがあると警告していて、実際に前例もあります。2021年7月の抗議デモでは、NetBlocksがFacebook、WhatsApp、Instagram、Telegramの障害を観測しました。遮断はCubacelの回線にかかるので、その上を通るものは何でも影響を受けえます。VPNが役立つのか、いつ使う価値があるのかはVPNガイドで解説しています。
キューバの統計局によると、2026年1〜7月の訪問者数は62.8%減って419,863人でした。それでも訪れる人はおおむね3つのタイプに分かれ、スマホに求めるものも少しずつ違います。
キューバはカリブ海のどの周遊プランにも含まれていないので、島ごとに別の準備が必要です。旅が続くなら、ドミニカ共和国、ジャマイカ、メキシコはどこも通信網がはるかに強く、カードも普通に使えます。どの島を1枚のeSIMでまとめてカバーできるかは、カリブ海プランの対象国で解説しています。
使えます。旅行用eSIMは、キューバ唯一の携帯電話網Cubacelにローミングでつながり、4Gと3Gで通信します。ETECSA自身はeSIMを売っていないので、キューバでeSIMを使うなら旅行用eSIMしかありません。停電中は電波状況が大きく悪化します。
現実的には無理です。購入とインストールにはインターネットが必要なうえ、2026年6月6日からキューバではVisaとMastercardが使えず、Wi-Fiも限られています。出発前に自宅でインストールしましょう。
商用5Gはありません。Cubacelが提供しているのは2G、3G、4G LTEです。ハバナやほとんどの町では4G、町と町の間の長い区間では3Gか圏外と考えておきましょう。
使えないことが多いです。ETECSAによると、最近の全国停電では基地局の80%以上が停止しました。予備電源のある基地局は動き続けますが、混雑します。これはどのSIMでもeSIMでも同じです。
島内ではできません。2026年6月6日以降、キューバではATMも含めVisaとMastercardが使えません。ETECSAの提携サイトならオンラインで外国のカードも使えますが、先にネットにつながっている必要があります。データ代は渡航前に払っておきましょう。
1 GBあたりなら安いです。ただしプラスチックのSIMなので、SIMトレイのあるスマホが必要で、到着後に窓口でパスポートを確認され、普段の番号がSIMカードならそれと入れ替えることになります。
普段は使えます。WhatsAppは、ほとんどのキューバ人にとって主な連絡手段です。ただ2021年7月のように、抗議デモの際に接続が遮断されたこともあります。また起きたときに備えて、オフラインマップをダウンロードし、大事な情報は保存しておきましょう。