
旅行用eSIMは自宅でインストールし、データローミングはその回線だけオンに。銀行のSMSを受け取れるよう、普段のSIMは挿したままにします。リゾートのWi-Fiは遅かったりロビー限定だったりし、エジプトはEU圏外なので自国の契約のローミングは割高、海に出ると電波は弱まります。目安は1週間で3〜5GB、2週間で6〜10GBです。
紅海でのバカンスは、街歩きの旅ほどスマホに頼りません。だからこそ油断が生まれます。ハルガダ、マルサ・アラム、シャルム・エル・シェイクの空港に降り立ち、送迎バスでエル・グーナ、マカディ・ベイ、ソーマ・ベイ、サファガ、ダハブのオールインクルーシブのリゾートへ。そこから1〜2週間の予定は、プールとサンゴ礁と、いくつかのツアーだけです。ところがホテルのWi-Fiはバーでしかつながらず、自国の通信会社からは1MBあたりの料金を知らせるSMSが届き、ボートツアーでは桟橋を離れたとたんに電波が途切れます。
このガイドは、そんな休暇のためのものです。海辺で1〜2週間を過ごし、ルクソールへの日帰りツアーや、シュノーケリングやダイビングのボート、砂漠のバギーやジープのサファリにも出かける。そんな旅を想定して、リゾートのWi-Fiで確かめておくこと、ドイツ、オーストリア、スイスの大手通信会社が2026年にエジプトで請求する料金、電波が実際に届く範囲、そして本当に使うデータ量を解説します。カイロやナイル川、エジプトの現地SIMのルールについては、メインのエジプトのeSIMガイドをご覧ください。
海沿いのリゾートのほとんどがWi-Fiをうたっていて、料金に含まれていることも少なくありません。ただ、その言葉の中身はホテルによって大きく違うので、約束ではなく確認事項として受け止めましょう。頼りにする前に確かめたいのは次の点です。
いちばん早く確かめる方法は、Wi-Fiに触れた最近の口コミを読むことです。ここ数か月のコメントに絞り込み、旅行会社やホテルに直接問い合わせてもよいでしょう。そのうえで、Wi-Fiはロビーでメッセージを送れる程度、という前提でデータを計画しておきます。思ったより快適なら、モバイルデータの出番が減るだけです。
WhatsAppの写真、クラウドへのバックアップ、アプリのアップデートも、ホテルのWi-Fiに任せましょう。写真のバックアップとアップデートのダウンロードを「Wi-Fi接続時のみ」に設定しておけば、サンゴ礁で撮った300枚の写真が、知らないうちにモバイルデータを食いつぶすこともありません。
エジプトはEUに含まれないため、自国のデータ容量を海外でもそのまま使えるEUのルールは適用されません。ドイツ、オーストリア、スイスの大手通信会社はエジプトを国内の容量の対象外となる世界ゾーンに入れ、エジプト向けには独自のパスを販売しています。以下は2026年10月時点で各社が公表している内容です。料金は変わるので、出発前に自分の契約を確認してください。
| 通信会社 | エジプトでのデータ通信 | 出典 |
|---|---|---|
| Telekom(ドイツ) | 国グループ3。パスか付帯の容量がなければデータは使えない。エジプト向けパス(2024年8月以降のMagentaMobil):1GB・7日間で4.95ユーロ、5GB・14日間で15.95ユーロ、12GB・28日間で29.95ユーロ | Telekomの料金検索 |
| Vodafone(ドイツ) | ReisePaket World Tag:1日500MBで9.99ユーロ。World Woche:4GB・7日間で34.99ユーロ。Data Woche:3GB・1週間で29.99ユーロ | VodafoneのReisePakete |
| O2(ドイツ) | ゾーン4:1MBあたり1.49ユーロ。Roaming Plus Worldパック:月14.99ユーロで、エジプトを含む対象国で2GB | O2の料金表 |
| A1(オーストリア) | A1 Roaming Passオプションでは、エジプトはゾーン3:使い始めた1GBごとに9.90ユーロ | A1 Roaming Passの対象国リスト |
| Swisscom(スイス) | エジプト向けパック:1GBで9.90スイスフラン、5GBで24.90スイスフラン、10GBで39.90スイスフラン。いずれも365日有効(2025年6月実施として発表された料金) | Swisscom |
正直なところ、悪くないものもあります。Telekomの12GBのエジプト向けパスなら2週間はたいてい足りますし、2026年2月から販売されているTelekomのMagentaMobilプランには、エジプトを含む国グループ2と3で使える年間の容量が付いていて、最小プランの2GBからXLの50GBまであります。A1の1GBあたり9.90ユーロやSwisscomの10GBパックも現実的で、O2のWorldパックなら1か月で2GB使えます。自分の契約に良い選択肢があるなら、それを使いましょう。問題はすき間です。Vodafoneの利用者は1日500MBごとに9.99ユーロ、または1週間3GBで29.99ユーロ。パックのないO2の利用者は、たった1MBに1.49ユーロを払います。4人家族なら、パスも4つ必要です。
旅行用eSIMなら、こうした比較そのものが要りません。一度買えば、自国でどの通信会社を使っていても同じように動くデータプランです。普段のSIMはデータローミングをオフにしたまま、スマホに入れておけます。ほかの通信会社も含めた比較はヨーロッパ大手のEU圏外ローミング料金で、同じデータ量を旅行用eSIMで買うといくらになるかはエジプトのプランで確認できます。
ローミングでかかるのはデータだけではありません。エジプトにいても自国の番号には電話がかかってきて、出るだけで料金が発生します。Telekomはエジプトの国グループでの着信を1分0.29ユーロ、O2はゾーン4で1分1.59ユーロとしています。TelekomではSMSの受信は無料です。出る必要のない電話は留守番電話に回し、家族や友人にはメッセージで連絡してもらいましょう。
EUの利用者には、ひとつだけ安全網があります。EUのローミング規則では、通信会社は税抜きで月50ユーロに近く、それを超えない額でデータを止める初期設定を用意しなければならず、これはEU圏外でのローミングにも適用されます。ただし、訪問先のネットワークが利用量をリアルタイムで報告できない場合は別です。大惨事は防げますが、お得になるわけではありません。O2の1MBあたり1.49ユーロなら、上限には約40MBで達します。スイスの利用者はそもそも対象外です。
リゾートの町とその周辺では、たいてい電波は良好です。Vodafone Egyptの5Gエリア一覧には、ハルガダ、サファガ、シャルム・エル・シェイク、ダハブ、ルクソールが載っています。エル・グーナ、マルサ・アラム、マカディ・ベイ、ソーマ・ベイはこの一覧にありませんが、これは1社の5Gエリアを示すもので、通信エリアの地図ではありません。こうした場所では4Gを想定し、初日の夜に部屋の電波を確かめておきましょう。大きなリゾートの中では、厚い壁や長い廊下で電波が弱まることもあります。自宅と同じです。
典型的な紅海の休暇には、町を離れる場面が3つあり、それぞれ事情が違います。
ハルガダ沖のギフトゥン島、シャルムのラス・モハメッド、マルサ・アラム沖のサンゴ礁へ向かう日帰りボートは、マリーナではアンテナが全部立っています。ところが沖に出るにつれて電波は弱まり、外側のリーフではまったくないものと考えてください。島や海岸に近い場所では1〜2本拾えることもありますが、急ぎの用には当てにしないこと。メッセージは桟橋で送っておき、帰りの船のために音楽やポッドキャストをダウンロードしておきましょう。
ダイビングクルーズ船(ライブアボード)や沖合の遠い場所では、スマホが船内の携帯電話網をつかむこともあります。その料金はエジプトの料金ではなく、自国の通信会社が海上向けの料金で請求します。自国の回線のデータローミングをオフにしておくべき理由がもうひとつ増えるわけで、詳しくはクルーズ旅行のガイドで解説しています。
ハルガダ、マカディ、シャルム、ダハブから出る砂漠ツアーは、たいてい海岸から車で少し走ったところから始まり、出発時には電波があることも多いでしょう。ところが一行が山あいや砂丘に入っていくと、電波はまだらになり、完全に消えることもあります。夕日を見に行くバギーツアーならそれで構いませんが、備えはしておきましょう。グループで集合場所を決め、ツアー会社の電話番号を書き留め、ホテルの場所はオフラインで保存しておきます。砂ぼこりの中をバギーで走るなら、スマホに必要なのはネットワークよりも、ファスナー付きのポケットか小さなバッグです。
ルクソールは海岸から出かける定番のツアーで、長い1日になります。早朝に出発し、東部砂漠を抜ける道を片道数時間走って、カルナック神殿、王家の谷、ナイル川沿いでの昼食へ。ルクソールの町は5Gも含めて電波が良好です。道中は人けのない区間で電波が途切れることがあり、墓の中は硬い岩盤に遮られてまったくの圏外です。この日にデータを使うのは写真と動画なので、バスの中からではなく、夜にホテルのWi-Fiでアップロードするのがおすすめです。
ダハブ、ヌエバ、タバに滞在しますか。アカバ湾は狭く、ヨルダン、イスラエル、サウジアラビアが目と鼻の先にあります。スマホに外国のネットワーク名が表示されたら、旅行用eSIMのネットワーク設定を開き、エジプトのネットワークを手動で選んでください。
ビーチリゾートでデータ量を左右するのは、地図やアプリではなくホテルのWi-Fiの出来です。部屋でWi-Fiが快適なら、必要なデータはごくわずか。ロビーだけなら、SNSの閲覧も写真のアップロードも夜の動画も、すべてモバイルデータに移ります。計画用の大まかな目安は次のとおりです。
| 使い方 | データ量の目安 |
|---|---|
| 写真やボイスメッセージを含むメッセージ | 1日約150MB |
| 地図と、空港との往復の送迎 | 1日約50MB |
| プールサイドでのSNS閲覧 | 1時間約600MB |
| その日の写真と短い動画のアップロード | 約200〜500MB |
| HD画質の動画ストリーミング | 1時間約1.5GB |
| ボートや砂漠で過ごす日 | ごくわずか。電波がないことも多い |
GB単位のプランは30日間有効なので、2週間でも余裕があります。足りなくなったら、新しいeSIMを買わなくてもアプリでチャージできます。家族なら親のスマホからテザリングで1つのプランを分け合うことも、10代の子どもにそれぞれ持たせることもできます。どれにするか迷ったら、データ計算ツールが使い方から必要な容量を割り出します。
ニュースになるエジプトのルールが2つありますが、どちらもビーチでの休暇を台無しにするものではありません。1つ目は輸入スマホへの税金です。2026年1月21日から、海外から持ち込んだスマホは90日の猶予期間が終わると、Telephonyアプリで関税を支払う必要があります。ただし、この期限が関係するのはエジプトのSIMカードです。Appleのエジプト向けサポートページは、こうはっきり書いています。
§これはエジプトのSIMカードにのみ適用され、ローミングを利用しているiPhoneには適用されません。
旅行用eSIMはローミング回線としてつながるので、それを使う旅行者には登録も支払いもありません。詳しくはIMEIのガイドとエジプトのガイドで、現地SIMを買った場合に何が変わるかも含めて解説しています。
2つ目はインターネット通話です。エジプトは何年も前から、WhatsAppなどのアプリでの音声通話とビデオ通話を制限しています。最新の独立した評価であるFreedom Houseの報告(2025年5月まで)でも、禁止はまだ続いているとされました。2026年に解除されたという公式発表は見つかっていません。実際には、WhatsAppのメッセージ、写真、ボイスメッセージはふつうに使えますが、通話はつながらなかったり、一部のネットワークでしか使えなかったり、昨日は使えたのに今日はだめだったりします。原因はエジプトのネットワーク側にあるので、現地SIMでも同じです。到着したら一度通話を試し、ふつうの電話のために自分の番号もスマホに入れておきましょう。詳しくはWhatsApp通話のガイドで。
ツアーの前の晩にホテルのWi-Fiで10分準備しておけば、圏外の場所も気になりません。完全版はオフライン準備チェックリストにあります。紅海の旅なら、次のとおりです。
eSIMをインストールしたら、あとはそのままにしておきます。削除しないこと、「インストール」をもう一度タップしないこと。インストール用のコードは1回しか使えないので、削除したeSIMを同じQRコードやリンクから入れ直すことはできません。「コードが無効」と表示されたら、その意味はこちらで説明しています。何かおかしいと思ったら、設定を変える前にお問い合わせください。
入国書類の準備も同時に済ませましょう。紅海沿岸を訪れる人の多くはビザが必要です。公式ポータルのvisa2egypt.gov.egでオンラインで買うか、到着時に入国審査エリアの銀行カウンターで買うこともでき、エジプトの公式観光サイトによれば料金は25米ドルです。シャルム・エル・シェイク、ダハブ、ヌエバ、タバだけに15日以内の滞在なら、同じページによると、ビザの代わりに到着時に無料の入国許可スタンプがもらえます。このスタンプはこれらのリゾートでのみ有効です。予約の前に、自分のパスポートに適用される最新のルールを確認してください。
使えますが、エジプトはEUローミングの対象外なので追加料金がかかります。Telekomはプランに世界ゾーンのデータが含まれていないかパスを予約しない限りデータを止め(エジプト向けパスは1GB 4.95ユーロから12GB 29.95ユーロまで)、Vodafoneは1日単位と1週間単位のReisePaketeを販売し、O2はパックなしだと1MBあたり1.49ユーロです。出発前に自分の契約を確認してください。
多くの場合は無料ですが、そのホテルで「無料」が何を意味するかは確かめましょう。ロビーとプールバーにしか届かない、高速プランは有料、夜は遅くなる、といったこともあります。Wi-Fiに触れた最近の口コミを読み、部屋とビーチで使うモバイルデータも用意しておきましょう。
ホテルのWi-Fiがほぼロビーだけで、日帰りツアーに1回行くなら約3〜5GB。部屋でWi-Fiが快適なら3GB未満です。2週間ならたいてい6〜10GB必要です。
マリーナではあります。沖のリーフでは、どのネットワークでもほとんど、あるいはまったくないと考えてください。大事な連絡は出発前に済ませ、帰り道に聴くものをダウンロードしておきましょう。
旅行用eSIMか自国のSIMなら必要ありません。税金と90日の猶予期間が適用されるのは、エジプトのSIMカードで使うスマホです。旅行用eSIMのようなローミング回線で使うスマホには、登録するものがありません。
できるときもあります。メッセージ、写真、ボイスメッセージはふつうに使えますが、WhatsAppなどのアプリでの通話は何年も前から制限されていて、2026年にそれが変わったという発表は見つかっていません。到着したら試してみて、ふつうの電話のために自分の番号も残しておきましょう。
シャルム・エル・シェイク、ダハブ、ヌエバ、タバだけに15日以内の滞在なら不要です。エジプトの観光当局によると、到着時に無料の入国許可スタンプがもらえます。ハルガダやマルサ・アラム、ルクソールへのツアーにはビザが必要で、visa2egypt.gov.egでオンラインで取得するか、到着時に取得できます。