
場合によります。ただ、通信会社が売っているからお得というわけではありません。2026年9月21日に始まったドイツテレコムのT-Travelは、誰でも買えるプリペイドのデータ用eSIMで、自分の回線のローミングとは別の商品です。見るべき点はほかの旅行用eSIMと同じで、行き先でのGBあたりの価格、有効期間、返金条件、フェアユースです。1日単位のローミングパスと比べれば、たいていの旅行用eSIMが勝ちます。
2026年9月21日、ドイツテレコムが自社の契約者以外にも旅行用eSIMを売り始めました。Vodafoneは2025年6月に、スペインのTelefónicaはその翌月に同じ道を選び、Orangeも独自の商品を持っています。かつては「通信会社の代わり」だった商品を、いまや通信会社自身が売っているのです。
では、聞いたこともない会社より、よく知っている名前のeSIMのほうが買いなのでしょうか。パッケージに書かれた社名より、規約の4つの項目のほうがずっと大事です。以下の価格はすべて通信会社の公式ページかプレスリリースから、ショップが価格をスクリプトの裏に隠している場合は技術系メディアから取り、2026年9月28日に確認しました。
商品名はT-Travel。テレコムの発表資料は、多くの報道が取り違えた点をはっきりさせています。販売対象は「現在の携帯電話会社を問わず」海外旅行者です。テレコムとの契約は不要で、契約していても何も変わりません。「テレコムのモバイル契約者にとって、T-Travelは既存のローミングサービスの使い方や申し込み方を変えるものではありません」とあります。
対象は200以上の旅行先。Lite、Standard、Max、Unlimitedの4シリーズがあり、どれも1日から30日まで選べます。発表の前面に立ったのはテレコム・ホールセールで、背後には約600の海外パートナー回線があるとしています。
§T-Travelで、旅行中に誰もが気軽にモバイルデータを使えるサービスをつくります。
テレコムのショップは旅程を選ぶまで価格を表示しないため、公表されている数字はドイツの技術系メディアのものです。ComputerBaseによると、アメリカ・カナダの10日間は4 GBで9.85ユーロ、13.25 GBで17.05ユーロ、25.75 GBで31.70ユーロ、無制限で37.60ユーロ。トルコの10日間は7.25ユーロから33.85ユーロでした。
誰のための商品かがよくわかる制約もあります。teltarifの報道によれば、ドイツの携帯回線の契約者は、この旅行用プランをドイツ国内で使う目的では申し込めません。国外への旅行と訪問者のための商品で、自国で使う安い2回線目ではないということです。
すべてを左右するのがこの違いで、いまや通信会社は2つの商品を並べて売っています。ローミングは自分のSIMと電話番号をそのまま海外で使い、いつもの請求書で払います。旅行用eSIMは、普段の回線の隣に入れる2つ目のプリペイドのデータプロファイルで、代金は先払いです。
| 自分の回線のローミングパス | 通信会社の旅行用eSIM | 独立系の旅行用eSIM | |
|---|---|---|---|
| 買える人 | その通信会社の契約者だけ | 誰でも(回線を問わない) | 誰でも(回線を問わない) |
| 支払い方法 | 1日単位かパス単位で、毎月の請求に加算 | 旅行前に先払い | 旅行前に先払い |
| 自分の電話番号 | 通話もSMSも使える | 自国の回線に残る | 自国の回線に残る |
| 勝手に課金が始まる? | 多くは海外で初めてデータを使った時点で始まる | いいえ、買った分しか使わない | いいえ、買った分しか使わない |
| SIMロック解除が必要か | 不要 | 必要 | 必要 |
| 例:アメリカ10日間 | Verizon TravelPassで120ドル | T-Travelの4 GBで9.85ユーロ | プランごとの価格。同じ旅程で比べる |
つまり通信会社が旅行用eSIMを売るとき、売っているのは「よりよいローミング」ではありません。独立系の旅行用eSIM会社と同じ種類の商品を、自社ブランドで売っているのです。比べるべきは価格、条件、対応エリア。商品同士の比較です。
大手の多くは、いまもローミングパスしか売っていません。下の各社は別建ての旅行用eSIMを扱っていて、うち2社は海外へ出かける自社の契約者ではなく、自国にやって来る訪問者に売っています。
| 通信会社 | 商品 | 開始日 | 販売対象 | 価格の例 |
|---|---|---|---|---|
| ドイツテレコム | T-Travel | 2026年9月21日 | 誰でも | アメリカ・カナダ、10日間、4 GB:9.85ユーロ |
| Vodafoneグループ | Vodafone Travel eSIM | 2025年6月5日 | どの回線の利用者でも | ヨーロッパは4ユーロ、3.50ポンド、4ドルから |
| Telefónica(スペイン) | eSimFLAG | 2025年7月31日 | 誰でも | データ無制限、アメリカ10日間:35ユーロ |
| Orange | Orange Travel | それ以前(日付は非公表) | 誰でも | アメリカ、7日間、1 GB:5.99ユーロ |
| KPN | TravelSIM | 非公表 | 誰でも(ヨーロッパのみ) | 19.99ユーロから |
| AISとTrue(タイ) | SIM2Fly、GO Travel SIM | 以前から | タイ国内で登録する購入者 | True:アジア・オーストラリア10日間6 GBで399バーツ |
| T-Mobile US | Prepaid U.S. Pass eSIM | 2026年5月7日 | アメリカへの訪問者 | 7日間、5G無制限(うち高速50 GB)と通話・SMS:25ドル |
Vodafoneの発表資料がうたったのは、206の旅行先と700の回線、1 GBから150 GBまでで最長90日のパッケージ、98か国での5Gです。見落としがちな期限もあります。eSIMは購入から30日以内に有効化しなければなりません。
Telefónicaは別の形をとりました。eSimFLAGは170か国のデータ無制限を1日単位の料金で提供し、通話とSMSはありません。販売はオンラインのほか、CabifyやEurop Assistanceといったパートナー経由でも行っています。1日あたりの料金は旅行が長いほど下がり、アメリカ10日間なら35ユーロです。
2026年9月28日時点で、AT&T、Verizon、イギリスの4大キャリア、Telstra、Optus、カナダの大手3社、Singtel、そして日本の通信会社は、パスを売るかローミングをプランに含める形のままです。韓国の通信会社はローミングを手厚くして対抗しました。KTは複数人で分け合えるローミングパックを33,000ウォンで5 GBに増やし、期間を30日に延ばしたと、2026年9月2日にソウル経済新聞が報じています。
必ずしもそうではありません。いちばん意外な比較はテレコムの中にあります。2025年2月に料金を改定した自社のローミングパス「Travel & Surf」なら、テレコムの契約者はアメリカで2週間40 GBを29.95ユーロで使えます。一方、T-Travelの10日間のMaxパッケージは25.75 GBで31.70ユーロです。
すでにテレコムの回線を使っているなら、アメリカ向けのローミングパスのほうが新しい旅行用eSIMより安く、データも多く使えます。T-Travelがお得なのは、本来のターゲットである他社回線の利用者です。
ほかの人には、同じ理屈が逆向きに働きます。VerizonのTravelPassはメキシコとカナダ以外で1日12ドルなので、10日なら1 GBも使わないうちに120ドルです。これと比べれば、2〜3日を超える旅行では、通信会社ブランドかどうかにかかわらず、ほぼどのプリペイドeSIMでも安くつきます。
eSIM同士で差を生むのは、ブランドではなく行き先とパッケージの大きさです。Juniper Researchは2024年、旅行者が払う額をローミングなら1 GBあたり8.57ドル、旅行用eSIMなら5.50ドルと予測しました。行き先と日数に合わせたGBあたりの価格を、買うその日に、当社を含むすべての販売元で比べてください。
その数字の出し方は旅行用eSIMの料金ガイドで説明しています。イギリスとアメリカの通信会社を並べた1日パスの料金一覧は、2026年版 eSIM・現地SIM・ローミング比較にあります。
パスとプリペイドeSIMのいちばん大きな違いは、価格ではありません。誰がボタンを押すかです。1日パスの多くは、スマホが海外の回線に触れた瞬間に、スマホが勝手に押してしまいます。
§24時間のTravelPassセッションは、TravelPass対象国で端末を使用すると自動的に開始されます(電話の発信・着信、テキストメッセージの送信、データ通信など)。
Verizonは、アプリの更新や同期、ソフトウェアアップデートもデータ利用に数えるとしています。AT&TのInternational Day Passも同じ仕組みで、1回線目は1日12ドル、追加の回線は1回線につき6ドル。救いは、1回の請求期間に1回線あたり10日分を超えては請求されないことです。
オーストラリアやアジアには、自動で更新されるパスまであります。Optusの10ドルのRoaming Passは24時間で1 GBを使え、その後は自動でさらに10ドルがチャージされます。プリペイドeSIMにこれはできません。買ったデータを使い切れば、そこで止まります。
海外でも自国の回線をオンにしておくなら、対策は設定1つです。自国の回線のデータローミングをオフにし、オンにするのは旅行用eSIMだけ。それが正しく安全な理由は手順を追って説明しています。
思わぬ請求に上限があるかどうかは、旅行先ではなく、契約している通信会社の本拠地で決まります。多くの読者に関係するのは3つの制度で、そのうち1つは広く誤って伝えられています。
EUでは、ヨーロッパの外に出ても標準の利用額上限がついてきます。ローミング規則(EU) 2022/612は第14条(4)でデータ利用の標準上限を定め、第14条(8)でそれをEU域外への旅行にも広げています。上限の80%に達すると通知が届き、続けることに同意しなければデータは止まります。
§これらの上限のうちの1つ(標準の金額上限)は、月ごとの請求期間における未払い料金が、付加価値税を除いて50ユーロに近く、かつそれを超えない額とする。
知っておきたい例外があります。現地の回線が通信会社によるリアルタイムの利用量把握を許さない場合は上限が適用されず、そうした場所に着いたときは通信会社がSMSで知らせなければなりません。EUとその周辺の圏内では、2026年1月1日からローム・ライク・アット・ホームがウクライナとモルドバにも広がっています。
イギリスでは、多くのガイドに出てくる45ポンドの上限は、もう法律ではありません。ブレグジット後にSI 2019/587でイギリスの規則に書き込まれましたが、2023年貿易(モバイルローミング)規則によって2023年4月6日に廃止されました。自主的に45ポンドの上限を続ける回線もあり、Threeのローミングに関するFAQには、いまも世界共通で月45ポンド(付加価値税別)のデータローミング上限が書かれています。
イギリスの回線を使っているなら、請求額に法律上の45ポンドの天井があるとは考えないでください。Ofcomは2024年10月1日から、ローミングが始まったことと、利用額の上限を設定できることを知らせるよう各社に義務づけています。出発前に上限を設定しておきましょう。
アメリカには、法律上の上限がまったくありません。FCCは2010年に規則案を出し、最大3,000万人のアメリカ人が高額請求の被害に遭っていると指摘しましたが、業界は代わりに自主規範で応えました。CTIA消費者規範のもとでは、ローミングプランなしでスマホが海外の回線に登録されると、通信会社が無料で通知を送ります。ただし通知は上限ではありません。
イギリスとスイスでは、保護がもう1つ増えるかもしれません。2026年7月に妥結した両国の貿易協定には、両政府が追加料金なしのローミングを盛り込む意向が記されています。ただし署名も開始日もまだなので、当面スイスでのローミング料金はイギリスの回線が決めたとおりです。
海の上では、どのローミングパスも守ってくれません。船や飛行機は衛星につながった独自の携帯ネットワークを積んでいて、スマホは気づかないうちにそこへつながることがあります。陸の回線がまだ届く港にいるときは特に要注意です。
EUの通信規制機関でつくるBERECは、2026年3月のベンチマークで、こうした回線の平均が2025年第3四半期に1 GBあたり149.37ユーロだったと報告しました。AT&Tの船上の従量料金は1 MBあたり2.05ドルで、VerizonはTravelPassの日数をクルーズ船ではまったく使えないとしています。
EU法は、通信会社に逃げ道を用意させています。ローミング規則第14条(7)は、こうした回線にうっかりつながって料金がかからないよう「あらゆる合理的な措置」をとることを求めていて、接続を拒否できるようにするのがその一例です。いちばん簡単なのは、乗船・搭乗した瞬間から機内モードにしてWi-Fiだけオンにすることです。
自分のSIMでローミングすると、たいていすべてのデータがいったん自国に送られます。技術者がホームルーティングと呼ぶ仕組みで、通信は現地の回線から自国の通信会社のコアネットワークを経由してからインターネットに出ます。ローミング中のスマホに自国のIPアドレスが表示されやすいのもこのためです。
欧州委員会は、この遠回りのコストを測っています。2025年6月の作業文書は、ローミング時の遅延の大きさは「少なくとも部分的に」ホームルーティングによるものだとし、ローミング利用者が7割を超えるケースで5Gにつながっていたのに、76%のテストでダウンロード速度が自国の回線より遅かったとしています。
旅行用eSIMの経路はさまざまです。行き先の近くのハブを通るもの、発行元のコアを通るものがあり、通信会社の旅行用eSIMはその会社の卸契約が許す経路を使います。ビデオ通話やゲームで遅延が気になるなら、初日に試し、遅ければ乗り換えましょう。いまどこにつながっているかの確かめ方は旅行用eSIMが使う海外の回線で解説しています。
旅行者が離れ始めていたからです。Juniper Researchは2024年、通信事業者が旅行用eSIMのせいで110億ドル以上を失うと予測しました。利用者は2024年の4,000万人から2028年には2億1,500万人超に増えるとし、事業者には自社で参入するよう勧めています。
実際の数字は、騒がれているほど大きくありません。GSMA Intelligenceは2026年3月、主要11か国で過去1年に海外へ行った人の12%が現地でeSIMを使い、そのうち7割以上が通信事業者のeSIMサービスを利用していたと報告しました。
この先の流れを先取りしているのが韓国です。ソウル経済新聞が2026年9月に報じた旅行者1,497人の調査では、海外でデータを使う方法としてeSIMの購入が36%で最も多く、通信会社のローミングの34%を上回りました。満足度もeSIM利用者のほうがずっと高く、79%対58%でした。
どこが売っていても、旅行用eSIMがお得かどうかはこの条件で決まります。通信会社のeSIMと独立系のeSIMの違いがいちばん出るのも、ここです。
あと1分かけて確かめたいことが2つあります。テザリングが使えるかどうか、そして電話番号がつくのかデータ専用か。通信会社のものも含め、旅行用eSIMのほとんどはデータ専用です。
Zwitchyは独立系の旅行用eSIMです。ですからここは、ほかの会社と同じくらい疑ってかかって読んでください。はっきり言えるのは、上の4項目に当社の条件がどう答えるかです。
その日、行き先に対して通信会社のeSIMのほうが安いなら、そちらを買ってください。この記事が伝えたいのは比べることの大切さで、どちらかの売り手がいつも勝つということではありません。
通信会社ブランドかどうかにかかわらず、どのeSIMより自分の通信会社のままのほうがいい場面は実際にあります。
使えます。どの旅行用eSIMも、そういう使い方を前提にしています。AppleのデュアルSIMの説明によると、iPhone 13以降は2つのeSIMを同時に使え、モバイルデータに使う回線は一度に1つです。データには旅行用eSIMを選び、通話とSMSには自国の回線を残しておきます。
スマホに保存できるプロファイルは、同時に使える数より多くなっています。Appleによると、iPhoneには8つ以上のeSIMを保存でき、同時に使えるのは2つ。ですからスマホに保存できるeSIMの数が壁になることはめったにありません。自国の回線にローミングさせない設定はデュアルSIMの回線設定で順に説明しています。
旅行に合う旅行用eSIMプランを比べる →いいえ。ドイツテレコムは、どの携帯会社を使っている旅行者にもT-Travelを販売していて、自社の契約者の既存のローミングにも何の変更もありません。国外旅行向けの商品なので、ドイツの携帯回線の契約者はドイツ国内で使う目的では申し込めません。
違います。ローミングは自分のSIMを使い、多くは1日単位で自分の契約に請求されます。通信会社の旅行用eSIMは、普段の回線の隣に入れる別のプリペイドのデータプロファイルで、どの回線の利用者でも買えます。動き方はほかの旅行用eSIMと同じです。
必ずしもそうではありません。GBあたりの価格は、行き先、パッケージの大きさ、買う日によって変わります。同じ旅程で販売元を比べましょう。Verizonの1日12ドルのTravelPassのような1日単位のローミングパスと比べれば、数日を超える旅行ではほとんどのプリペイドの旅行用eSIMのほうが安くなります。
EUとEEAの通信会社なら有効です。規則 (EU) 2022/612 第14条(8)は、付加価値税を除いて月約50ユーロというデータの標準上限を、EU域外への旅行にも広げています。現地の回線が利用量をリアルタイムで報告できない場所では適用されず、その場合は通信会社がSMSで知らせなければなりません。
法律上はありません。45ポンドの上限は、2023年貿易(モバイルローミング)規則により2023年4月6日に廃止されました。Threeのように、月45ポンド(付加価値税別)の上限を自主的に続けている回線もあります。Ofcomは、ローミングが始まったことと利用額の上限を設定できることを知らせるよう各社に義務づけています。
バックグラウンドのデータ通信も数えられるからです。VerizonのTravelPassは、スマホが電話を発信・着信したり、SMSを送ったり、データを使ったりすると、24時間のセッションが自動で始まります。アプリの更新やアップデートも含まれます。パスを始めたくないなら、自国の回線のデータローミングをオフにしましょう。
スマホをロックしている通信会社とは別の会社のeSIMなら使えません。Verizonはプリペイドのスマホを365日分の有料利用までロックしたままにします。旅行前に通信会社にロック解除を頼んでおきましょう。
航海中はたいてい使えません。船は衛星につながった独自の回線を運用していて、EUの規制当局によると2025年後半の平均は1 GBあたり149.37ユーロでした。旅行用eSIMは港で陸の回線につないで使い、航行中は機内モードにしてWi-Fiだけオンにしておきましょう。